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 炎や熱が火の神アグニの姿であるように、聖なる川ガンジスは女神ガンガーの可視的、物質的な姿形です。 ヴィシュヌ神のつま先より生まれる女神ガンガーは、その神聖な力と共にインドの大地に横たわり、人々は川沿いに寺院を建てて儀式や捧げ物でその供儀を行い、気候や灌漑の安定を望みます。その水に触れるものは解脱や精神の効用を得ると文献にも記されているので、ガンジスを訪れる巡礼者はその聖水を故郷へと持ちかえり、村や家族全体にその恩恵をもたらします。
 生命が地球に出現した場所、ラジャスタン州のプシュカルにある神聖な湖は、創生の神ブランマーが神界から一本のバラを地球に落とした時、跳ねて地上についた三つの点に沸きはじめた泉です。 この世に存在する84万種類の生命はここから繁殖してゆきました。五千もの寺院に囲まれるこの湖には、生と死のサークルを閉めるために故人の灰をそこに沈める人々が遠くからも訪れます。

 インドの美しい自然は、聖地として芸術や神聖な知識に飾られた文明が生み出されました。旅人はヴェーダを受け入れることによってこのような場所に神と自然、そして神々や生命体の完全なる調和と精神の統一を見出すことが出来るでしょう。




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現在のナルマダ誕生地

ナルマダ源泉、老廃した寺院

ナルマダの古代源泉跡に残る寺院

 最も偉大な聖地にマディヤプラデッシュ州を流れる聖河Narmada・ナルマダがあります。シヴァ神の汗のしずくから生まれ、中央インドを東から西へと横断する女神ナルマダは、別の名をジャガット アナンディ(宇宙の至福)とも呼いい、その力と聖なる水は世界に大きな影響を与えてきました。
無数の寺院に飾られているその1200qに及ぶ川岸は、聖域として古代より数多くの巡礼者が行き交い、ヨギやサドゥーもまたこの地に滞在してヨガの修練や苦行に励みます。インドに星の数ほど存在する聖地の中で、ナルマダ流域は純粋な伝統と知識を今も受け継ぐ最も貴重な聖域です。

  ヴェーダ文献のプラーナによるとナルマダは“レーヴァ”と呼ばれ、水流だけでなく河川敷も移動しています。現在新しいナルマダ源泉の寺院は古い寺院のおよそ300m先にあり、源泉も時代の流れの中で動きました。 したがって、今日世界が見つめる"ナルマダ‐ダム プロジェクト (Sardar-Sarovar Project)"は、未知なる危険のもとに続行されているといえます。女神ナルマダが横たわる、山とジャングルに挟まれた全流域は聖地として敬われるインドで最も有名な巡礼地であり、古代よりこの純粋な土地には偉大な精神文化が栄え続けました。そしてナルマダは、そこに暮らす多くのアディバシ(先住民)によって守られ慈しまれてきたのです。 この計画が成功するか否かにかかわらず、何万人もの住民は強制的に移住させられ、谷に生息する動植物もまた破壊されると共に川岸に並ぶ寺院は水に沈み、何千年も続くナルマダの文化は大きなダメージを受けることになります。ナルマダに暮らす人々はダムプロジェクトを続行するインド政府に対する抗議活動を続けています。


ナルマダ ・ オームカレシュワー



ナルマダ ・ ベラガート



プラーナ文献によると、ナルマダを塞き止める計画は古代にも存在しましたが、神々によって保護されている自然に対するこのような横柄な試みは失敗することが運命付けられていて、下流には失敗に終わった古代の計画の跡を覗うことが出来ます。


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ナルマダ巡礼地の一つ、千の滝

ナルマダ "千の滝"

写真^: ナルマダに暮らす村人は、千本の腕でナルマダを塞き止めようとして失敗した半神、Sahasrabahu Arjun の伝説を語ります。ナルマダの水と水力を利用しようとする試みはいつの時代にも見られますが、女神ナルマダを止めることは不可能だと知られています。2×3キロメートルに及ぶ古代の巨大ダムは時の流れの中で壮大な滝となりました。


ナルマダに梳られた寺院外壁

 流れ込む900に及ぶ支流は "ナルマダの子"。水量の増す雨季、渦を巻くナルマダは岩底に2mあまりの穴を掘る威力で流れます。 シヴァリンガであるナルマダの石は水力によってこの穴の中で削られて男性器の形になるのです。その中でも美しい石(リンガ)は川沿いに並ぶシヴァ寺院にて崇拝されています。小石から数百キロに及ぶ岩をも飲み込み、それら全てを砕いてゆくナルマダの水力に、現代技術によって作られるダムがどうして対抗できましょうか。ナルマダは破壊神シヴァの強力な娘の一人なのですから。

しかしながらナルマダを動かし人間の支配下に置こうとする試みは今も続き、その水力を手に入れるため、無謀なダム建設計画が進められています。世界銀行はこのダムプロジェクトに巨大な資金を提供してきましたが、のちにこの資金はストップされ他の投資家もまた撤回しはじめ、建設工事は一時中断されていました。しかしインド政府は独自の計画でダム建設を再開しています。人間の頭脳によるダムという"近代の寺院"を造るにあたって、インド政府が自国の古い文献やその内容をどのように考慮しているのかが明らかになるでしょう。

ナルマダ沿岸のこのような寺院郡も
ダムプロジェクトの犠牲となり、
消えて無くなることに……
 文献によると、女神ナルマダは27の世界期間(kalpa)にわたって流れ続けます。ヴェーダは4回の宇宙創生と破壊を1カルパと数え、現在8カルパが過ぎました。誰もが知るナルマダの偉大な性質は流れること。今も昔も人々は"ナールマデー、ハール!ハール!"(流れよナルマダ!)の呼び声でこの神聖な川を称えます。 ナルマダを止めることは不可能なのです。一方失敗に終わった古代のダムは聖地となり、巡礼者が足を止め、滝の中のスワヤンブーリンガムを拝みます。聖者や苦行者にとって理想的な場所でもあり、ヨガの修練や哲学を学ぶヨギやサドゥも暮らします。
  私はこのダムプロジェクトに反対するデモンストレーションを応援し、この川に生きる人や訪れる人々の宗教的、精神的な文化を称えたいと思います。

NARMADE HARE HAR...     NARMADE HARE HAR...

写真下:15-20メートル水位が上がる雨季のナルマダに破壊された城壁。


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Thirtha−Yatraで訪れた聖地やナルマダについては写真集を御覧ください。



To be Vegetarian is Nonviolence in Action.


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© by Fumiko